ナビ得 NX-Station

携帯電話・スマートフォンに関するコラム

ドコモ 携帯電話 N700i

目次
これから20年先を読む 携帯電話・スマートフォンがこれからどうなるかを予測します。
今から20年前、どうだった? 20年前にNX-Stationの運営者が着目していたこと。
代替可能性 ある機能が別のある機能に代替される可能性について考える。
意外と変わらない? 将来にわたって人の営みが変わらなければ技術があっても変わらないかもしれない。

これから20年先を読む

 代替可能なサービスが登場すると主流は新しいサービスへ行ってしまいますが、1度主流になった形のデバイスの形態は慣れ親しんだ人がいる限り需要があるので無くならないというのが私が得た知見です。ネットサービスの登場で絶滅してしまうと予測されていたオーディオカセットテープやCDも無くなりませんでしたし、レコード、新聞、映画も無くなってはいません。市場規模は相応に小さくなります。
 近年携帯電話として発売される製品は、デザインこそ二つ折りの携帯電話ですがベースのOSがAndroidなどに変更されていてスマホと同様のアーキテクチャです。OSのアップデートは非対応でアプリの追加はできず、購入時の状態で使用することを前提としたいわゆる従来の携帯電話(ガラケー)のように利用できます。
 今年2023年には、パソコン(デスクトップPC)は1975年にMITS社が発売した組み立てキットの「Altair8800」から48年、1989年に発売されたクラムシェル型ノートPCは34年になります。ほぼ同じデザインで未だに最新のPCも製造販売しています。

 これらのことからこれから20年先を読むと、次の予想が立ちます。

  • タッチスクリーン搭載のスマホは無くならない
  • いま最新機種に搭載されている技術、機能は20年後には当たり前の機能になる
  • 今とあまり変わらない使われ方が続く

  スマホで音楽を聴いたり、動画を視聴したりすることも無くならないでしょう。ビデオ通話にもしっかり慣れました。
 メールで同報していたのが、LINEになったような変化は起きるかもしれませんが、感じたことを伝えるといった使い方はどんなに人工知能が発達しても変化しないと思います。近いうちに写真や動画を撮って説明のキャプションが自動でついたりはするかもしれません。
 人工知能が発達すると人工知能が受け答えできるので、検索エンジンのようなキーワードに対して目的のサイトを提示するような間接的なサービスは相対的に価値が低下するはずです。インターネット創成期にインターネットアドレスを知らないとサイトにアクセスできなかったことから始まり、大量のWebサイト情報からキーワードに適合するサイトを探す目的では検索エンジンはとても有効でした。しかし、Webサイトのコンテンツの提供する価値よりもアクセス数、ひいては広告表示数によって収益が得られる仕組みから、検索キーワードとして使われる言葉と広告単価の高いテーマのコンテンツばかリが作成されるようになって検索エンジンへ期待する精度は低く感じられるようになってきています。

今から20年前、どうだった?

 2007年以前はスマートフォンが登場する前の世界です。携帯電話全盛期で2002年の調査で94.4%とほぼ全世帯に携帯電話が行き渡り、以後の調査でも95%前後を記録しています。スマホは2015年には個人保有率も全体で50%を超えてその後現象には転じておらず一人1台保有が定着してきています。調査対象の年代の人も10年経てば10代分年を取りますから、既に70代、80代の保有者も少なくありません。

図表1-1-1-1 我が国の情報通信機器の保有状況の推移(世帯)
図表1-1-1-1 我が国の情報通信機器の保有状況の推移(世帯)

図表1-1-1-2 スマートフォン個人保有率の推移
図表1-1-1-2 スマートフォン個人保有率の推移
出典:情報通信白書 平成29年度
第1部 特集 データ主導経済と社会変革
第1節 スマートフォン社会の到来

 20年前の当時は第三世代移動通信システム(3G)が導入されFOMA F700iの画面の解像度が240×320 ピクセル (QVGA) 2.2 インチ TFT、N700i 240×345 ピクセル (QVGA+) 2.3 インチ TFTと今のスマートウオッチ並みでした。
 当時流行っていたものは「着うた」というサービスで、着信メロディーに予めダウンロードしておいた流行曲を流せるというものです。サブスクで音楽をいつでも定額で聞ける現在からは想像できないかもしれませんが、お気に入りのアーティストの楽曲を1曲当たり100円程度で購入(携帯電話サービスの情報料、パケット通信料別)として払ってダウンロードしていました。
 携帯電話では本体内部のメモリの容量不足を補うために外部メモリーとしてminiSDというSDメモリカードを一回り小さくしたメモリカードに対応していました。そのような背景のある中で、2005年8月28日のNX-Stationでは次のような記事を書いていました。

[便利] 携帯便利グッズ (2005/08/28)
◆miniSD
メガピクセル携帯には、大容量・高速miniSDがすぐにほしい!ですね。
倍速miniSDメモリだと撮った写真の保存のスピードが違いますね。連射モードや高画質モードだとその違いがはっきり分かります。

【アキバ情報】
KINGMAX 128MB 型番不明 10MB/S 66倍速 1,980円 (2005/07/30 秋葉原 テクノハウス東映)
↑ これ私もケータイ Docomo N901isで使ってます。ケータイでの動作保証も1年保証も無いけど安くて速いからOK。
A-DATA 128MB 型番不明 1,990円 もアキバの各店で見かけましたが、バルク扱いで速度も分からなかったのでパス。

PQI 128MB QMSD-128 2,150円
IODATA 128MB SDM-128M/A 2,480円

◆FOMA用USB充電機能付AC(家庭用電源)
メジャー方式の長さが自在に変わるケーブルで便利です。

◆置き忘れ防止グッズ
携帯電話の忘れ物防止にとても便利です。これがあれば、お財布ケータイも、アドレス帳の個人情報も守れますね。

メモリカードは単位が変わるほど大容量化

 2023年の売れ筋のメモリカードはmicroSD 128GBと単位はMBからGBへ、約1000倍。値段は1580~2380円くらいなのでこのあたりが値ごろ感として定着している感じがします。
 メモリカードの速度は10MB/Sから100MB/Sなので約10倍と大容量化と比べても思ったよりも進歩が緩やかです。ちなみに当時購入したminiSDメモリカードは手元にあり、2023年現在でもSDメモリカード変換アダプタのおかげで読み書きできました。

USB充電が主流に

 携帯電話の充電は100Vのコンセントに接続する充電器が標準で、別売りのUSB充電ケーブルが流行りだしていました。PCのUSBポートから充電できたり、PCのソフトでアドレス帳のバックアップができたりというのが利点でした。スマホではいつしか、USB充電ケーブルが主流になりました。

置き忘れ防止グッズ/機能

 Appleの「iPhoneを探す」やAirTag、Google 「デバイスを探す」といった位置の特定や遠隔ロック、遠隔消去の機能は標準で搭載されるようになりました。
 携帯電話は100グラム前後が主流でしたがスマホはデバイスが大型化して150グラム前後が主流です。携帯電話は二つ折りが流行っていたこともあって厚さは年々薄くなりました。置いたまま動画を見たりすることに慣れたせいか未だに置き忘れは無くなりませんね。

代替可能性

 2007年6月29日 米国で初代iPhoneが発売されました。電話の再発明、日本の携帯電話が実現できていた機能のほとんどが非搭載でしたがアプリで新しいサービスが追加できる仕組みが利用者のニーズに合いiPhoneのシェアは急拡大していきました。2013年にはNECの携帯電話事業を継承したNECカシオモバイルコミュニケーションズがスマートフォン事業から撤退しました。
 当時のシャープやNECの事業責任者のコメントを改めて読み直すと、利用者の真のニーズを全くとらえられていなかったことがよくわかります。メールしかコミュニケーション手段がなかったから速く打つとかそういうUIを望んでいた側面はありますが、つながりたい、仲間と盛り上がりたいというニーズを満たしたアプリが使えるiPhoneに消費者が流れたことが理解できなかったようです。
 iPhoneが日本に上陸したときにワンセグが観れない、ケータイ用ゲームが動作しない(Adobe Flash非対応)といった機能面で劣っているように見える点が多数あったのですが、代替可能性でいうといずれも代替可能でした。ワンセグよりもはるかに高画質(DVD品質)でいつでも観れる動画サービスApple TV、アニメやパズルだけでない本格的なゲームが楽しめるApp Storeを自社サービスとして用意していたのでした。Appleはあえて既存の機能を搭載せずにそれを凌駕するサービスを自社で提供するというやり方で電器製品の市場のゲームルールを変えて勝ち上がってきたのでした。
 携帯電話はキャリアの意向に沿ってメーカーは製品開発してキャリアから販売になる商流になっていて、2年ごとに買い替え、個人であればお気に入りのメーカー、企業であれば旧財閥グループの関係で特定のメーカーを購入していたので自社製品の入り込む余地のないほどiPhone一強の市場になるとは思わなかったのでしょう。日本の携帯電話はインターネット対応といっても携帯電話サイト(簡易的なHTMLタグで書かれたWebサイト)の表示はできたもののPC向けのWebサイトは表示できませんでした。アプリも追加できるような設計思想でなかったことも巻き返しができなかった原因だと思います。ガラケー(ガラパゴス諸島のように独自の生態系を持つ日本の携帯電話)の経済圏は、アプリ開発者にも閉鎖的でした。ドコモの場合、既存のアプリ開発会社はiメニュー、iモードアプリがあってその中で優位な取扱いを受けることに固執していました。本体が買い替えられるまでアプリは情報料という形で課金が続く方式でした。

関連リンク:
iPhone上陸をシャープとNECはどう見たか--ソフトバンクのiPhone獲得を考える[ZDNET 2008/06/12]
https://japan.zdnet.com/article/20375162/

NEC、スマートフォン事業から撤退 [ケータイWatch]
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/609830.html

 PCではアプリを自作したり購入したり簡単でしたが、携帯電話はキャリアにコントロールされて自由が全くなくなりました。スマホはアプリストアからインストールできる道がありました。

意外と変わらない?

 規格の普及の鍵は代替可能性にあります。画質であればより高精細、音質であれば高音質なものへ代替されていきます。動画も携帯電話のカメラでは15fpsでしか撮影できなかったものが、後の世代では30fps、60fps、120fpsとより滑らかになりました。再生するとその差は歴然です。しかし機能そのものは20年前も、現在も意外と変わりません。
 数十年の製品化の中で考えつくされて搭載された機能です。目的が突然生まれるわけではないので目新しい機能が突然追加されるということはほとんどありません。例えば指紋認証機能もスマホからでなくく携帯電話に搭載されていましたし、電子決済機能もそうでした。日常生活の方で大きな変化がなければ携帯電話やスマートフォンの機能単体ではこれから先も意外に変わらないのではないかと思います。

 AppleとGoogleの2大アプリプラットフォームにWindowsのアプリストア Microsoft Storeを加えたの3つプラットフォームが巨大過ぎて他の企業は太刀打ちできない状態です。4番目、5番目になる企業は浮沈を繰返しながら出現しそうですがトップ3の顔ぶれはこの後20年変わらないのではないでしょうか。

 ユーザ接点の部分ではWebサービスとリアルの融合、PCとスマホの連携、QRコードを組み合わせてチケットとかクーポンとか何かを提供するといった形の新サービスは増えていくと思います。企業では郵便物を減らそうという動きが進んでいるのでチケットレスの流れは止められないでしょう。

 バズワードとして記載されている先進技術の多くが主要技術にはならずに10年後も同じポジションにあります。
例えば、スマホの次のデバイスと目されていたウェアラブルデバイス、スマホの次にはなりませんでした。

参考資料:
2010年 今後のドコモが目指すもの
~スマートイノベーションへの挑戦~
https://www.docomo.ne.jp/corporate/ir/binary/pdf/library/presentation/100729/docomo_newcorporatevision.pdf
スマートイノベーションを支えていく主な技術



更新履歴

更新日:2023年01月20日
作成日:NX-Station前サイトから移行+書き足し
その他:

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