PC-9821A-E10 SCSIインターフェースボード
PC-9821A-E10はSCSIインターフェース用スロット(SCSI専用スロット)に装着して使用します。
PC-9821A-E10
PC-9821A-E10の特徴
Fシリーズ(PC-9801FA FS FX)やA MATEシリーズ(PC-9821A*)の
SCSIスロット専用のボードで、ファイルスロットのSCSI機器や固定ディスクスロット(内蔵SCSI)
を使うために必要です。E10ボードはDMAまたはCPU(FIFO)の転送モードをサポートしています。
このボードには、いくつかの種類があり、単体で販売されたもの
とPC本体に付属したものがあります。また、認識できるハードディスクの
容量に違いがあります。また、起動できるのは、ハードディスクの前から1GB以内の
領域のシステムファイルです。
詳細はあきらかではありませんが、ボード上のNEC独自のチップに「FIFO SCSI」
とある方が古いようです。新しい方は「SAGAT」と刻印されていました。
このボードは、SCSIスロット専用ボード PC-9801FA-02の後継です。
ちなみにFA-02はDMA転送のみサポート。
このボード(FA-02も含む)は、最近のSCSIボードのようにIDサーチの表示など
や設定画面の表示はしません。そのため、増設していても
「ちょっと起動に時間がかかるな」という気がするだけで目立ちませんので
認識していないと思わないでくださいね。
NEC純正のSCSI専用スロット用のボードはこの2種類だけですが、サードパーティの
各社からSCSI専用スロット用のボードが発売されています。(現在も販売中のものは
ほとんどありません。)
PC-9801FA-02との違い
FA-02はDMA転送のみサポート。
FA-02のボードは「NECチェック」と呼ばれる悪しきチェックプログラムがBIOSに書き込まれています。これは、SCSIハードディスクを接続した時のみですが、SCSI機器が返すベンダ名(製造メーカー名)がNECでないと動かないというものです。
チェックはベンダ名の3文字目まで行われますので、対策が施されたHDDかNEC純正の
ハードディスクしか使えないようになっています。FUJITSU製のハードディスクも
過去にはNECITSUなんてなって変更されて98用の外付けHDDになっていたのです。
接続可能機種
PC-9821A-E10
NEC製 ハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ、CD-ROMドライブなど接続が保証された機器
ICM製 ハードディスクドライブ(接続できない機種もあります。)
光磁気ディスクドライブ、MO-4120,MO-120S,MO-230S,PMO-230
CD-ROMドライブ CD-600S, CD-610S, CD-620S, CD-660S, CD-900S
2022年リニューアル時のコメント
PC-9801のFELLOWシリーズに対して、上位のラインナップであるPC-9821のMATEシリーズにはSCSIを搭載することは理にかなっていたように思いますが、日本のバブル経済の崩壊が1991年(平成3年)3月から1993年(平成5年)10月までの景気後退期であったことを考えると、高級と普及で分けるのではなく安くて高性能なブランドして戦略転換していればPC-9821シリーズで終わることなく、Apple Macシリーズのようにメーカー1社の独自アーキテクチャのコンピューターとして存続出来たのではないかと思います。
1993年の発売当時は記憶装置系の規格としてSCSIとIDEが競合している時代でした。高性能だが高価なSCSIがPCの世界では破れ、安価で大容量なIDE(Integrated Drive Electronics)、EIDE (Enhanced IDE) にとってかわられました。なお、IDEは1994年にANSIにATA-1として規格化されました。
PC-98の原動力となった互換性重視のNECの戦略ゆえに世界の共通規格の取り込みが遅れたことが敗北の遠因です。SCSIボードとSCSIハードディスク、CD-ROMの価格で、余裕でIDE HDDを内蔵したAT互換機であればPC一式購入できました。